馬絹と北斎

馬絹は古く歴史ある場所です。

葛飾北斎の「鎌倉 江ノ島 大山 新板往来双六」にも、馬絹が描かれています。

鎌倉江ノ島大山新板往来双六
双六・錦絵・文政13年(1830)・柳亭種彦撰

 

北斎唯一の双六絵。武蔵・相模両国の名所旧跡をめぐる双六絵である。江戸から東海道六郷の渡し~川崎~神奈川と来て保土ヶ谷で一泊。戸塚から大道~円覚寺~建長寺、鶴岡八幡に詣で、雪の下で一泊。露座の大仏、長谷観音、極楽寺から七里ヶ浜へ出て、弁財天の江ノ島に宿泊。片瀬~藤沢~四ツ谷から大山道に出て、相模川を田村の渡しで越え伊勢原へ。良弁の滝で身を清めて、大山に詣でて坊に一泊。愛甲~厚木で相模川を越え、河原口~鵜の森~鶴間宿泊まり、大山街道の長津田~谷本~荏田、国道246号を馬絹~溝の口と来て二子宿泊まり、多摩川を二子の渡しで越え、三軒茶屋~渋谷~赤坂見付けを通り、歩いて6泊7日の大旅行の上がり。柳亭種彦の撰に従い、北斎が描いた52駒の名所絵。江戸時代にタイム・スリップした神奈川の名所巡りは、観光立県・神奈川のポスターそのものだ。
「初摺」の本図は、板元西村屋与八・鶴屋喜右衛門の共同で文政末(1830)年ごろ発行された。
(公益社団法人 川崎・砂子の里資料館 館長 斎藤 文夫)

• 本浮世絵ならびに解説文は、元参議院議員 斎藤文夫様のご好意を戴き掲載しております。

鎌倉江ノ島大山新板往来双六に描かれた馬絹